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ミき下の【スミつき】

脳の溶ける文章

【急突なモヤ】ep.1

 突然だが、俺は机の上にびしょびしょに濡れそぼったジーンズパンツが置かれていても決して触れようとはしない。

 気づくとは思う。指摘するとも思うのだが。
 白い部屋をイメージして欲しい。白い部屋。言うなればTVの番組で使われるような楽屋というのがちょうどいい。
 地味めな服装のスタッフのような人または私服のマネージャー的な人。
 そういった人に案内されるがままいくつかの角を曲がって、辿り着いた白い楽屋のような部屋。
 その前に小綺麗な白いドアに取り付けられた横長の細めの鉄ハンドルを下げ、開けるとそこには楽屋らしき部屋が広がっている。
 余談だがドアには小窓は付いていない。
 もちろん、その時点で付添人はいなくなっている。
 まず目に飛び込んでくるのは机である。一人ではやや持て余す程の大き目の机。
 しかし、この後最低二人以上の人間が会議や打ち合わせなどと銘打って会合を試みて来るのだから致し方ない。
 部屋の隅にはそこそこでかい葉の観葉植物なんかが置かれていて、でも様式美というかもはや風景と化していてそれには見向きもしない。
 そう、その楽屋である。
 で、その置かれた、いや、元からあった机の上にジーパンが置かれているのである。
 あくまで仮定であるが。
 よく見ると机の表面がテカっている。
 テカるというのは光るの俗語である。
 説明するまでもないという人がいたなら陳謝する他ないが、説明がないと分からなかったよありがとうという人にはあえて掛ける言葉もない。
 それは置いておいて、きっと俺はその不自然なテカりの原因が気になって、ちょっと角度を変えて見るだろう。
 すると、何やら水溜りが出来ていることに気づく。
 水の溜まりである。
 要するに水が溜まっていたのだ。
 だから何だという話ではない。
 普通は机の上に水が溜まるという事象はあり得ない。
 何らかの天災とか人為が介入しない限りは。
 新品の机が濡れていようものならすぐさま返品ものであろう。
 ましてや、新品で買った机に水分があったなどという話は聞いたことがない。
 話を戻そう。
 その後、俺はどうするだろう。
 いや、俺でなくても男女関係なく一般的な人ならどうするだろう。
 もし、一人行った先で机が濡れていようものなら。
 きっとその原因を探るだろう。
 このように言うとそれ以外に答えが見つからないように思えるが、実際このような場面に遭遇したときこれ以外に答えを浮かべるのは難しい。
 というか、無意識的に探ろうとするだろう。
 話はここで終わらない。
 逆に終わらせて驚かせたいところでもあるが、ここまで話してしまったのだから、逆に続けさせて頂く。
 続いて想像して欲しい。
 机の水溜りが最初に発見したジーパンとくっ付いている状況を。
 そこで大方の人は気づくだろう。
 俺ももちろん気付く。
 その水溜りは、置いてあるジーパンが生み出したものだということに。

 

(続く)

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