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【絵のないマンガ】

いままでたくさんお世話になったんだ。

それは言い表せないほど。
だから。
たくさんたくさんたくさんお返しをしないと。
いままでお世話になった人。
会った人。
会ったことがない人。
会いたい人。
会わなきゃいけない人。
沢山迷惑をかけたかもしれない。
沢山時間を使わせてしまったかもしれない。
たくさん。
たくさんの。
書籍とか。
ゲエムとか。
映画とか。
テレビとか。
絵画とか。
ダンスとか。
音楽とか。
気づきをくれたぜんぶに。
ぜんいんに。
お返しをしなくちゃ。
自分から。
自分の言葉で。
自分から直接。
時間はたっぷりある。
体感としてたっぷりある。
そう考えてるとすぐになくなる。
何だってそういうもの。
帰ってきて床に寝転んだ拍子に引き出しの裏に鉛筆で書いた十七文字が目に入った。
忘れてた。
怖い。
目に見えないものは最も怖い。
昔読んだ本の中に答えはあった。
怖いことは知らないこと。
昔やったゲエムの中に答えはあった。
知ることはこの上ない喜び。
昔見た映画の中に答えがあった。
喜びは人によって違う。
昔見たテレビの中に答えがあった。
違うということは思い込みにすぎないのかもしれない。
昔見た絵画の中に答えがあった。
答えはない。
思い込みが最も怖い。
昔見たダンスの中に答えがあった。
答えはない。
昔聴いた音楽の中にヒントがあった。
作ったものにその全部が入っていた。
見直して気づいた。
沢山の大きなヒントがあった。
色々なものの中。
沢山隠れていた。
言っていることは同じだった。
どんなに拮抗したメッセエジだろうと。
最終的には同じ処を指していた。
単純すぎて笑みがこぼれた。
だがそれを探そうとはしなかった。
労力を使うから疲れるからと。
探すことの意義を見出せなかった。
探し方を知らなかった。
そのいずれかにあてはまって。
答えのない虚無感を飼いならせぬまま。
結果的に何もせぬままに終わっていた。
何となく。
段ボウル箱をひっくり返したら一番下に壊れたコンパスが埋まっていた。
空のごみ箱の底に向かって投げつけた。
部屋の隅にあった靴下を履いた。
新しいコオトのタグを切った。
財布と携帯電話を手に取った。
暗い夜道。
一人自転車を走らせた。
立ち漕ぎすればすぐ着く。
待たせてる人たちがいる。
時計にヒビは入ったが時刻は秒単位まで正確だ。
拾いそびれたアイテムなんて数え切れないし。
まだこの先にもありったけ転がってる予感がする。
忘れかけたものの中に。
この世にまだ存在しないもの。
自分がいないと存在し得なかったもの。

それは。

不可視。
可視。
目に見えない。
目に見える。
つづける。
やめる。
連続。
非連続。
アナログ。
デジタル。
かえる。
かえない。
やりたいからじゃない。
すきだからじゃない。
そうおもえたとき。
ぜんいんとぜんぶはきえた。
めにはみえないおれだけがのこった。
やるんだよ。
やるだけだよ。
それしかないんだよ。
そうじゃないんだよ。
そうじゃない。
それでも。
まだ始まったばかりだけど。
決めたんだろ。
忘れないで。
描くんだろ。
忘れないで。
書いてんだろ。
決めたから。
はじめたんだよ。
おわるんだよ。
はじまってるんだよ。
それまで。

つづけるんだよ

(終)