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【お疲れ様ですの業】ep.1

 あれ。

 今この人。
 お疲れ様です。
 って言ったよな。
 朝なのに。
 会ったばっかりなのに。
 私は別に。
 夜勤とかじゃないのに。
 今日の。
 仕事は。
 これからなのに。
 どうして。
 そうか。
 きっと。
 夜勤明けと。
 間違われてるんだ。
 否。
 それは。
 ないか。
 うちの。
 会社に。
 夜勤は無い。
 新人でも。
 ないんだから。
 それくらい分かってるはずだ。
 それとは。
 関係なく。
 疲れてると思われてるのか。
 昨日の。
 帰り際を。
 思い出してみる。
 お疲れ様です。
 同じトーンでそう言っていた。
 いいんだ。
 それはいいんだ。
 現に。
 仕事終わりで疲れてたんだから。
 俺だって。
 そう。
 同じように返したと思う。
 なのに。
 今のは。
 何だ。
 待てよ。
 昨日の。
 朝も。
 そう。
 言っていやしなかったか。
 何かが。
 引っかかる。
 どう考えても。
 疲れてない私に。
 お疲れ様ですなどと。
 まるで人を下に見たかのような。
 所詮。
 君なんか。
 通勤で。
 体力の殆どを消耗してるだろうと。
 そうとでも。
 言いたげな。
 私とは違ってと。
 それとも。
 私の見た目が。
 疲れているように見えたのだろうか。
 見た目が疲れている。
 そんな言葉は。
 今までに。
 一度も掛けられたことはない。
 ないのだが。
 ましてや。
 十分に休んだ日に。
 当日に。
 そうか。
 歳だ。
 歳のせいだ。
 私も。
 そう。
 若くはないということか。
 確かに。
 皺や。
 目元の弛みも。
 目立ってきた。
 そんな気がする。
 体の老いというのは。
 自分で分かる。
 だが。
 見た目の老い。
 顔の老いというのは。
 自分では。
 分かりづらい。
 鏡を至近距離で見ると。
 私もまだ若いと。
 錯覚することがあるように。
 自分というのは。
 何かで。
 反射した拍子にしか。
 目に入らない。
 だとしたら。
 自分を。
 よく知っているのは。
 他人か。
 だとしたら。
 ほぼ。
 毎日。
 会っている。
 彼は。
 私の見た目をよく知っている。
 だから。
 私の老いを。
 憂いた上で。
 お疲れ様です。
 という一言を。
 発したのだろうか。
 だとしたら。
 私も。
 彼のことは。
 深く知っているという。
 自信は無いが。
 見た目のことはよく知っている。
 結論から言う。
 私より。
 彼の方が老けている。
 明らかに。
 老いさらばえている。
 額の皺と。
 豊麗線が。
 くっきりとしている。
 そのことは。
 本人も。
 自覚しているはずだ。
 だとすると。

 

(続く)