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【ポリンキー・ポロン】ep.1

 休日、喫茶店でコーヒーを飲んでいると、右肩にポリンキーが落ちてきた。

 ポリンキーとは、三角形の網目状のスナック菓子である。
 かじるとサクッとした食感の後から、香ばしいフレーバーが味蕾を刺激する。
 その、ポリンキーが不意に落ちてきたのである。
 注文して来たアメリカンコーヒーを一口飲み、一息つき、最近の出来事の回想を重ね、午後をどう過ごそうかと、カップをもう一度口に運ぶ途中である。
 まずは、仄かにチーズの匂いが漂ってきたことを覚えている。
 それから、カサッという音とともに肩を何かが掠ったのだ。
 紙か何かだと思った。
 レシートか手拭きのナプキンが天井に張り付いていて、それが何かの拍子に空気抵抗を感じながら落ちてきたのだと。
 だが、コンマ何秒か後にカツンという微かな音波が足元で広がった。
 そして、一層チーズの匂いは濃くなった。
 直前まで飲もうとして止まっていたコーヒーを口に運び、少しばかり気を落ち着ける。
 カツンという音は背中の方からした。
 何を思うでもなく、後ろを振り向く。
 背後のシートは無人である。
 だが、その上には黄色い網目で出来た三角の形をした物があった。
 菓子か。
 馴染み深い形をしていたので一瞬で見抜くことができた。
 そうか、とここで気づく。
 きっとさっき右肩を掠った物はレシートでもナプキンでもなくこの菓子であり、その後のカツンという音は、木で出来た背もたれの上部にそれがぶつかった音ではないか。
 よく見ると、音のした辺りに菓子がぶつかって粉砕した粉が付いている。
 間違いない。
 とすると、この菓子は上から落ちてきたということになる。
 当然、見上げる運びとなる。
 そこには、小さな三角形の穴が空いており、よく見るとそのサイズ感と形は先程の菓子と瓜二つ。
 などということもなく、茶色い木材の天井にモダンな照明がぶら下がっているというぐあいだった。
 ならば、この黄色い物はどこから現れたのか。
 一応立ち上がって照明の裏を確認してみたが、何もそれらしい仕掛けはなかった。
 天井裏に誰かがいて、タイミング良く落としたとでもいうのだろうか。
 馬鹿馬鹿しい発想だが、天井板をずらして物を落とせる切れ目は見当たらなかった。

 それより、上には何か施設が入っていたような気がする。

 入る前に何とかボウルとかいう看板が目に入った。

 

(続く)