ミき下の【スミつき】

Overturn Of Encephalon

【兵庫・イン・カロライナ】ep.1

「えー、今日は転校生を紹介します。兵庫県から引っ越してきた、竹津草平くんです。どうぞ、入ってきていいよ」

「こんにちは、ノースカロライナ州からやってきました、エリック・パトリオットです」
「あれ? 確か兵庫県って言ってたけど」
「いいえ、ノースカロライナ州のエリック・パトリオットです。趣味はプラネタリウム巡りです。好きな星はアンタレスです。好きな食べ物は」
「ちょーっ、ちょちょちょちょちょ、進まないで。ちょっとあれか。緊張してるんだなきっと。そんなに固くならなくても良いよ」
「固くなってません。ぼくは最近ふっくらやわらかです」
「う、うん? 最近ってことは、ちょっと前までは緊張してたのかな? ともかく、一回深呼吸してみようっか。きっと本当の自分が見えてくるよ」
「見えるも何も、ぼくはノースカロライナ州出身のエリック・パトリオットです」
「違うよね。竹津くんだよね?」
「エリック・パトリオットです」
「だって普通さぁ。自分の名前、フルで言わないじゃん。うんうん、面白い面白い。みんなも笑ってるし、そこまでにしようか」
「草平じゃないです。エリック・パロリオットです」
「ほらー。草平の方がしっくりくるじゃん。今ちょっと噛んでパトリオットがパロリオットに聞こえたけど」
「あっ、あっ、あっ……」
「どうしたの?」
「思い出しました。ぼく、竹津草平でした」
「ほらー、言ったでしょ」
「変なこと言ってごめんなさい」
「いいんだよ。誰にでも間違いはあるから。それじゃ、改めて自己紹介してみようか」
「改めまして皆さん、竹津草平と申します。よろしくお願いします」
「みんなも仲良くしてあげてね。特別に質問タイム。何か聞きたいことある人はいるかな?」
「はい!」
「はい。竹津くん。って、みんなに聞いたんだけど。ええっと、何か言いたい、伝えたいことがあるってことかな?」
「さっき、趣味はプラネタリウムって言ったんですけど、全然そんなことありませんでした。アンタレスは恒星の中で一番きらいです」
「そうだったんだ。多分緊張してたんだよね。仕方がないよ。先生だってそういうことあるもん。人間ドックの結果とか開くのに手が震えるから。そうだよ。大人だって緊張するんだから。別に変なことじゃないんだよ」
「あ、あと。これだけは言いたいんですけど」
「はいはい」
「ぼく、ノースカロライナ州出身なんです」

 

(続く)