ミき下の【スミつき】

Overturn Of Encephalon

【すごくゆっくりと炊き込みご飯を混ぜている男がいる】ep.1

すごくゆっくりと炊き込みご飯を混ぜている男がいる。
いつからそこにいたのだろうか。
気づくとそこにいた、というほかあるまい。どこからどう見てもスローである。
はっきり言ってしまえば、めちゃくちゃスローである。
まるで、ハイスピードカメラで撮った映像を見させられているかのような混ぜようである。
もっとも、ハイスピードカメラで撮ってなどいないので、驚きの色を隠せないのである。
恐らく私は隠せていない、驚きの色を。
確証を持って言えたことではないが、多分隠せていない。
隠せているかいないかで言えば、多分隠せていない。
隠せている可能性を考えると、隠せているパーセンテージと拮抗する可能性すら分からないが、この場合、どちらか全く分からないので、仮に隠せていないということにしておく。
西の人が見たら、めっちゃスローやん!
と言うに違いない。
仮に近くに素早く動いている人がいたとしたら、一層そのゆっくり具合が強調されて見えただろう。
その素早く動いている人からしたら、めっちゃくっちゃスローじゃん!
と言うに違いない。
もし、その人が西の人だったとしたら、めっちゃくっちゃスローやん!
と言ったに違いない。
これは仮定であって、更には予測なので、あまり自信を持って言えたことではない。

なので、断定の論法を避けて、恐らくそうだろうと表現しておこう。
そして、いつからそれを見ているのか、自分では見当もつかないほどの時間が経ったのか、経っていないのか、それについては一向に分からないのだが、少し前と比べてもその格好、洋風な言い方をすると、ポーズにほとんど変化がないことから、ことのほかもたもたしていることが分かる。
だが、確信を持って言えるのは、混ぜているということだ。
何かを使って、何かを攪拌している。
何を使って混ぜているかは一切分からない。

今までに見たことがあるような気もするし、ないような気もする。
真相は一体どちらだろうか。
両方の気持ちは同じくらいである。
だから、これ以上言及をして、誤解を招かないようにしたい。
もし、後日、あの時見たことあると言ったじゃないか、といちゃもんをつけてくるような輩がいたら、私はこう言いたい。

断定はしていない、と。
何せ、本当に見たことがあるようなないようななのだ。
輩とは誰か。

本当に後日なのだろうか。

今日中かもしれない。
それとも。

 

(続く)